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物理医学の歴史①

 日本では、理学療法、作業療法のことを「リハビリ」と言っていますが、日本に身分法ができた当時、輸入元のアメリカでは、Physical Medicine and Rehabilitation(物理医学およびリハビリテーション)として定義されています。
Physical Medicine and Rehabilitationという名で単科独立していることを考えれば、日本のリハビリテーション科というのは、英語ではDepartment of Physical Medicine and Rehabilitationを表しているわけです。
 リハビリテーション科を直訳するとDepartment of Rehabilitationになりますが、アメリカにはDepartment of Rehabilitationはありません。実はこの辺に問題の核心があるんです。

日本語 英語
リハビリテーション科 Physical Medicine and Rehabilitation
循環器内科 Cardiology
呼吸器内科 Respiratory Medicine
消化器内科 Gastroenterology
血液内科 Hematology
神経内科 Neurology
小児科 Pediatrics
精神科 Psychiatry
 皮膚科  Dermatology
 消化器外科  Gastrointestinal Surgery
 心臓血管外科  Cardiovascular Surgery
 呼吸器外科  Thoracic Surgery
 整形外科  Orthopaedic Surgery
 脳神経外科  Neurosurgery
 泌尿器科  Urology
 眼科 Ophthalmology
 放射線科  Radiology

 ところでこのPhysical Medicine(=物理医学)、日本では耳慣れない言葉ですが、歴史を紐解くと紀元前5000年ころに遡ります。痛みと外傷に対する物理的治療の記録が発見されています。
 普通に考えれば、痛いときはそこをなでたりさすったりしますし、出血すれば知恵を働かせて何とかして止めようとするものですから、紀元前5000年から行われていたということ自体にはあまり意味がないでしょう。その頃の記録が現存したということが考古学的な大きな発見だったというわけです。

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 紀元前2500年ころ、有名なヒポクラテスの時代です。このころは、呪術から医術への移行期と言えます。けがや病気の治療が、特殊な能力を持った特定の人から、経験や知恵という条件がそろっていれば誰にでも可能な技術へと変わっていきます。

 ヒポクラテスは、病気を超自然的な力や神の与えた罰という概念から切り離した最初の人物と言われています。近代医学の始まりではありますが、解剖学や生理学はまだ未発達な時代です。科学的思考に一歩踏み入れてはいるものの、経験主義的な姿を見せています。

 例えば、ヒポクラテスは病気は「四体液説」をもとに医術を行っており、それは体液のバランスが崩れることで病気が起こるという考え方です。当時のギリシアでは人体解剖はタブーとされていたため、生理学は全く存在しなかったのです。

 この流れは、19世紀の病理解剖学の誕生まで続きました。それまでの間、医師が行う治療の大部分は、下痢、嘔吐、出血を利用して体液のバランスを整えたり、物理的エネルギーを利用したりというものでした。

 内科のはしりと物理医学が治療の中心だった時代です。

 
 生理学が未発達だったのは、単にそれがタブーだったからというだけでなく、動物を静かにさせたまま解剖する手段がなかったため、生きている状態の臓器の仕組みがわからなかったんです。

 19世紀になり、麻酔薬としてエチルエーテルが発明されると、安全に動物を解剖することができるようになり、臓器の仕組みがわかるようになりました。
 
 それにより生理学が発達し、病気の原因は四体液のバランスではなく、臓器の働きだということが分かってきました。

 また、15世紀中ごろ発明された顕微鏡は、19世紀には700倍の倍率に到達し、結核菌、ペスト菌、破傷風菌、コレラ菌などさまざまな病原菌を発見していきます。原因がわかれば対処法もおのずと出てくるもので、滅菌法や血清療法などが開発されていきます。

 これを契機に内科と外科が一気に進歩し、以後、投薬と手術が現代医学の中で主な治療手段となっていきます。

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