障害学って? ICD-10とICIDHとICF ④ -Disabilityの解釈-
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いろいろ書きましたが要するに、
3分は座れる=3分しか座れない
左手スプーンで食事ができる=左手スプーンじゃなきゃ食事ができない
短下肢装具とT字杖があれば歩ける=短下肢装具とT字杖がなきゃ歩けない
ということ。言葉に騙されてはいけませんよ。
(そういえば、ICFを勘違いして言葉遊びをする学生さん、増えてますね。)
普通の人が普通にしていることができない状態がICIDHでいうDisabilityと思っておけばいいです。
(加えて、やりすぎ(徘徊など)もDisabilityになります。)
んじゃ、ICIDH(仮訳)の中で例示している、近視の人が眼鏡をかければ能力低下とはならないということはどう説明するんだ?
となりますね。
今の文化の中では眼鏡をかけることは特別なことではないので、問題にならないということでしょう。
「靴を履かなきゃ外を歩けない」というのが能力低下ではないのと同じです。
前回、
「ICIDHの 38.1食べる(食物を口に運び、取り入れる) というDisabilityは解消されますが、37.4食事道具(ナイフ,フォークや他の食事道具を持つ)というDisabilityは残ります。」
と書きました。これはもう一つの解釈ができて、
「左手でスプーンを使わなければ(左手だけで食事するのは普通の日本人ではない)食事ができないので 38.1食べる(食物を口に運び、取り入れる)というDisabilityは解消されていない。」
と言うこともできます。
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どちらが正しいか?
作った人に聞いてください(´▽`)。
定義上は、どちらとも間違いでないように思えます。
ただ、後者の方がPT/OTの臨床上有用だと思いますが。
どういうことかというと、
①Disabilityには原因となるImpairmentがある。
②Impairmentが治療できれば、Disabilityがなくなる。
③Disabilityが残れば、DisabilityがあってもADLが自立できるように訓練を行う。
と、医学的リハビリテーションの中でのPT/OTアプローチが単純明快になりますね。
③は補助具を使用したり、環境を変えた状態での新しい動作パターンに習熟していくために行います。
いいですか!
また言いますが、
「こうすればできる」と判断したから訓練するんですよ!
でも、②治療が成功してしまうのが一番いいわけです。
②治療しても、③訓練しても、にっちもさっちもいかず、予後的にもどうにもならないのであれば、
④Handicapに対しての働きかけ
をしつつrehabilitateを促すわけですが、④はソーシャルワーカーや行政の仕事になりますね。
PT/OTならば、②、③に力を注がなければいけません。
あなたの能力によってどの程度のHandicapを抱えていかねばならないかが決まるわけですから。
・・・まだまだ続く。
※次はImpairmentにまつわるあれこれと、ちょっとICD-10のことになる予定。