障害学って? ICD-10とICIDHとICF ③

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さてさて、障害学。

こんな問題を出しました。

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①起き上がれなかった人が、3分間座れるようになりました。
ーこの人にDisabilityはありますか?

②右片麻痺の人が左手スプーンで家族と一緒に食事をとれるようになりました。
ーこの人にDisabilityはありますか?

③短下肢装具とT字杖で近所のコンビニまで歩いて買い物に行けるようになりました。
ーこの人にDisabilityはありますか?

ICIDHで考えるとどうでしょう?
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ICIDHで使われているDisabilityの訳としての能力低下は医学用語としての「能力低下」です。
日常語と混同してはいけません。
定義が大切。

WHOによると.。。
dis

ということですね。
(『WHO国際障害分類試案(仮訳)』の一部です)

①は「3分座れるようになった。」大進歩です。
でも、Disability(能力低下)は、「人間として正常とみなされる態度や範囲で」ということであり、「習慣内にできると思われる活動遂行や…」とあります。

簡単に言うと、普通の人が普通にできることができないのが能力低下ととらえていいんじゃないかと。

「3分間座れる」ということは「4分は座れない」ということなので、Disabilityありです。

これはICIDHの 71耐久における能力低下71.0姿位保持の能力低下 にあたります。

②は微妙ですね。

『WHO国際障害分類試案(仮訳)』第一章にこんな記述があります。

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近視あるいは糖戻病をもつ人は機能障害をもっているが、これらは補助具又は薬物で矮正あるいは消滅させることができるので、必ずしも能力低下をもつとは限らない。
しかし、能力低下をもたない若年性糠尿病の患者の場合、仲間と一緒にお菓子を食べられなかつたり、定期的に注射をしなければならないという形での社会的不利をもつことは起り得る。
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普通の日本人は左手だけでスプーンで食事をしますか?

ICIDHの 38.1食べる(食物を口に運び、取り入れる) というDisabilityは解消されますが、37.4食事道具(ナイフ,フォークや他の食事道具を持つ)というDisabilityは残ります。

もし、この人が大多数の右利きの日本人としたら 65利き手の能力低下 というDisabilityがあります。

よって答えはDisabilityありです。

そう考えると③は…

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コンビニまで買い物に行くという行動は可能になりましたが、裏を返せば近所のコンビニまでしか行けないので、71.2その他の身体耐久面における能力低下 です。

また、T字杖と装具を使うことで、眼鏡をかけるように、40歩行能力低下45その他の歩行関連活動の能力低下 を消滅させることができるかどうか。

そして現実的に、67足制御の能力低下 を解消するほどの装具はないでしょうね。

よって答えはDisabilityあり です

合ってましたか?

Disabilityは階層構造を作ります。(実はImpairmentも一次性、二次性という階層構造を作ります)
(1)利き手がうまく使えない→(2)箸が持てない→(3)食事ができない
という感じに。

つまりは原因があるってこと。

(1)が解決できれば(2)(3)は自ずと消えてなくなる。じゃ、(1)の原因は?

この場合、Impairmentが原因になっていることが多いです。

Impairmentを解決するにはどうするか?
治療を行います。僕らの関係でいえば、Physical Medicineで治療していくわけですね。
治療に成功すればDisabilityはなくなります。

今度は逆方向に遡ります。

治療が成功せず、Disabilityが残った場合、訓練を行います。それで(1)利き手がうまく使えるようになれば、(2)(3)は消えます。
(1)が残ってしまった場合、別の方法を考えて箸を持ってみます。

↑なんてものを使ってみたり、左手でスプーンを使えるように訓練したり。
それが成功すれば、(3)は解消します。

これはMedical Rehabilitationの一部分です。

Physical Medicine and Rehabilitationと言われる由縁です。
(Physical Medicine and Rehabilitation(略してPM&Rと言われます)はBlog「物理医学とリハビリテーション」「理学療法士greenの治療ブログ」に詳しく書かれています。ぜひご参照ください。右(スマホは下)のブログ村のバナーから飛べます)

Impairmentに対して行うのは治療(=treatment)、Disabilityに対して行うのは訓練(=training)です。

夜も更けてきたので、今日はここまで。

・・・続く。

注:「普通の」という言葉を多用してますが、僕は普通でないことが悪いことという観念は持っていません。医学である以上、正常と異常の線引きは必要なことであり、差別を意識したものではありません。医学的な思考は価値判断を求めません。ここでは「一般的な」「大多数の」という意味で使っています。ご理解のほどお願いいたします。

はっ、ICD-10とICFに触れていない( ゚Д゚)

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