若い作業療法士(理学療法士)へ 新人さんに伝えたいこと

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品物にしろ、技術にしろ、それ自身はどれほど重要なもの、貴重なものであっても、それを持ち運ぶ人、それを身に着けた人が信頼にあたいする人でなければ到底広く受け入れられることがのぞめないであろう。
(『理学療法と作業療法』1:4-8,1967 砂原茂一)

1967年、国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院の学院長であった砂原茂一先生の言葉。
今から50年前のこと。

同時に、

・・・理学療法士・作業療法士はパイオニアとしてのイバラの道を当分歩み続けなければならないが、それは周囲の人々と争いながらではなく、関係者のかたくなな心を徐々にとかしながらでなくてはならない。

とも言っている。

それから半世紀

50年後の今、理学療法士・作業療法士はどこまで道を進めたのか?

イバラの道はより一層深くなり、進むことさえ困難になっていないか?

果たして、我々は、関係者のかたくなな心をとかしてこれたのか?

日本の医学界に「リハビリテーション」の概念が生まれたのは革命的だったと思う。

いかに「よく生かすか」についての責任をもとうとしなかった医学の非人間性のゆえであろう

それは、忘れられていた人間性を医学に取り戻す試みでもあった。
医学的リハビリテーションの技術者として誕生した理学療法士・作業療法士はそのために闘っていた。

物理医学の土壌がないところでの理学療法士、Occupationの概念のないところでの作業療法士は徒手空拳である。
親のいない乳飲み子に等しい。

それでも50年。自分の足で立てるようになったか?
乳飲み子は「信頼にあたいする人」に成長できたのだろうか?

我々のなすべきこと

近年、理学療法料、作業療法料はリハビリテーション料として一括された。
すでに自分の足では立ち上がれず、寄り合って何とか地面に臥すのを免れているかのようだ。

どうすれば、信頼にあたいする人になれるのか?
どうすれば、関係者のかたくなな心を溶かしていけるのか?

理学療法士へ

理学療法士は本来の姿、物理医学を取り戻すことだ。
欧米では、物理医学の治療技術者としてPhysical Therapistが生まれ、社会情勢の変化の中でrehabilitationと結びついた。
2人の医師、同時期に活躍していたKrusenとRuskの必然的な偶然の出会いだ。

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理学療法士は物理医学という武器を確固としたものにしなければならない。
運動障害の治療に最も有効な方法であることに加えて、遺伝子発現に最適な刺激をコントロールできるのは物理医学だけであることを証明しなければならない。

作業療法士へ

作業療法士はOccupaitionを取り戻し、現状の自分たちの在り方を再考すべきだ。
Occupational Therapistは人を人たらしめる重要な要素としてOccupationを取り扱ってきた。
社会情勢の変化とともに、戦傷者や神経疾患の後遺症でOccupationを失った人たちが増えるとrehabilitationの必要から、Occupational TherapyがPhysical Medicine and Rehabilitaionでも用いられるようになった。

それゆえにOccupational Therapyは治療医学として還元主義の洗礼を受け、技術として生体力学的アプローチを取り入れていった。
心身両面を取り扱いながら、作業をすることで人は健康になりうるというOccupational Therapyの核がかすみ、人間の壊れた構造を修復することが主題になった。

日本に輸入されたのはそのころの作業療法だ。

そこから始まった作業療法は、Physical Therapyのコピーに成り下がっていないか。
Occupational Therapyは再び、人が作業をする意味を取り戻そうとしている。
作業療法士は閉ざされた日本という井の中から出て世界に学ぶべきだ。

ただ、忘れてはいけない。

日本で作業療法に報酬が発生しているのは医療としてである。
今そこを離れては専門職集団としての存在そのものが危うくなる。

しかもその不安定な足元さえ危うい。
理学療法の方が手っ取り早いと思っている作業療法士のいかに多いことか。

作業療法士は作業療法としての生体力学的アプローチを確固としたのもにしつつ、Occupationの概念を取り戻し、作業療法に応用していかなければならない。

Occupational TherapyはRehabilitaionの先に広がっていける可能性を秘めている。

それでも進めるか?

50年経っていばらの道は一層険しくなっている。
けれども道であることには変わりない。

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