安納芋にみる生化学・量子力学・流体力学・熱力学②
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甘さのもとは太陽の光(生化学エネルギー論?)
なぜ焼き芋が甘いか?
お日様のおかげです。
光合成とお日様の力
植物がなければ、太陽からの光エネルギーは地面にぶつかって熱エネルギーに変わり、空気に熱が移動して、大気から宇宙空間に拡散していく。
でも、植物はそのエネルギーで分子を結合させブドウ糖を作り、お日様のエネルギーを逃げないようにため込みます。
エネルギーがなければブドウ糖は作れない、ということは、ブドウ糖を壊せばエネルギーを取り出せるわけです。
ざっくりいうと、充電池ですな。
12H2O+6CO2+光→C6H12O6+6O2+6H2O
聞いたことあるでしょ? いや知ってるはずです。高校の理科ですよん。
生化学と生命
植物が作った充電池を食べて地球の生物が存在している。
生物はやがてお日様由来のエネルギーをため込むことができなくなって、エネルギーの一部はほかの生物に取り込まれて、一部は宇宙区間に放出されて消えていく。一部は微生物と植物の力で再び生物に利用されるエネルギーに変わる。
命は流れの途中にできた澱(よど)みみたいのものかもしれませんね。
話を戻して…
でんぷんが甘くなる?
そして、ブドウ糖だと保存しにくいため、さらにエネルギーを使って、ブドウ糖をでんぷんにして保存できる形にするわけです。
なので、芋のでんぷんからエネルギーを取り出してしまえば、糖にかわるってことですね。
ところが!
このでんぷん、一筋縄では壊れない。
壊れればお日様由来のエネルギーを取り出せるのだけど、壊すためにまたエネルギーが必要だったりする。
それを少ないエネルギーで行うのが酵素の働きです。
お米を噛んでいると甘くなるでしょ?
でんぷんが麦芽糖に変わったってことです。麦芽糖ってのは、ブドウ糖を2つくっつけたようなもの。(正確には違うけど)
これに働いたのが唾液アミラーゼという酵素。プチアリンとも言われます。
アミラーゼを働かせよう
このアミラーゼは植物の中にも含まれています。
でんぷんからエネルギーを取り出すのに必要なわけですから。
だから、芋の中のアミラーゼをうまく使えれば、甘い焼き芋ができるってことですね。
しかしこのアミラーゼ(βアミラーゼといいます)、熱に弱い。
タンパク質の一種ですから。
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そしてでんぷん。
塊のままじゃ、アミラーゼが働きにくい。
もし働いちゃったら、植物にとっては放電しながら充電するよう事態になってしまう。
でも、でんぷんは水と熱があると糊化してアミラーゼが働きやすくなります。
つまり、そこです!
でんぷんが糊化しつつ、酵素が変性しない程度の温度で、でんぷんにアミラーゼが作用して糖に変化させまくるまでその温度をキープできれば、3ランク上の焼き芋に仕上がるということですね。
比較すると
まず、電子レンジ。
加熱時間、圧倒的に短すぎ。一気に温度が上がるので、アミラーゼさんの出番なし。
やりすぎると、芯から焦げたり、干からびて乾燥芋になったり。
ふかしイモ。
ゆっくり加熱できるんだけど、ちょっと水っぽくなる。味覚的には薄味な感じ。
焼き芋。
なかなかいい感じ。ただ、火加減が難しい。炭になることあり。
で、ダッチオーブンなんだけど、じっくりじわじわ加熱することができるので最高の焼き芋になります。
炎の正体とエネルギー
ダッチオーブンだと、まず、直に炎に当たりません。
炎というのは急激な酸化反応です。(習った?)
何かのエネルギーを受けて出来上がった物質が、酸素と出会ってエネルギーを放出する現象。
普段は急激には起こらないけど、大きなエネルギーが与えられて安定している状態が壊されると急激に進む。
炎・プラズマ・量子力学
原子の周りには電子が回ってて、エネルギーは原子を回る電子の軌道を変える。
ざっくりいうとハンマー投げ。
重力で結ばれた地球と月にも似てますね。
力を加えて回転数を上げていくと徐々に軌道が広がって外に飛び出そうとする。
限界まで来ると電子が飛び出します。
そのとき、蓄えておけなくなったエネルギーを光という形で放出します。
光エネルギーは物質にあたって一部熱に変わり、飛び出した電子がほかの分子にあたってエネルギーを与え、またエネルギーを得た電子がエネルギーを放出して飛び出していく。
プラズマです。
それが燃焼という現象。
最終的に、発生した熱・光の分だけエネルギーの減少した物質は、低いエネルギー状態の物質に変わります。
要は焦げるってこと。
ダッチオーブンは直火ではないので、この現象がおこりにくい。
ダッチオーブンが加熱されると、中は高温になります。といっても温められるのは空気なので、鍋の温度よりも低い。
加えて、境膜(境界膜)の存在がミソです。
・・・続く