PT(理学療法士)にとってのダイレクトアクセス? 開業権? 研修会で知ったこと。
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SJF学会関東支部の研修会に行ってきました
この研修会は毎回得るものが大きい。
今回も「!?」って感じだったけど、なんかはっきりしないまま数日。
やっとなにが「!?」なのかはっきりしてきました。
研修会1日目の「!?」
1日目、宇都宮理事長の講義と会員発表。
会員発表は「障害学」について。
発表した会員さん、ありがとうございました。
各論を発表してくれた会員さん。
1症例を通して、障害構造と治療過程を報告していただけました。
障害診断できる?
「!?」の一つ目は、ICIDHを用いた障害構造の分析。
宇都宮理事長曰く、「それは障害診断だ」、と。
本来は医師の業務です。でも、我々は当たり前のようにやっています。
まぁ、患者に言わなきゃ業としての診断にはならないから、法律違反ではないですけど。
障害診断をやるとかやらないとか思う前に、日常的にやっているのが我々。
処方箋見たことある?
そして、法律上、必要とされている医師の指示。
□PT
□OT
みたいなのにチェック入れてるのがほとんどでしょう?
包括指示でよいとされてるからそんなものですよね。
あるべき姿の処方箋はこんなものです。
治療の頻度、内容、期間、負荷、回数、強度等が書かれて初めて処方と言えるんだけど、
そんな処方見たことない。
内容は自分たちで決めているのが実態。
ってことは、自分で処方箋書いてるやん。
包括指示(Dr)→処方(PT)
包括指示をもらって自分たちで運動療法や物理療法を処方する
ってのが実態になってるでしょ。よくよくみると。
↑Krusen’s Handbook of Physical Medicine and Rehabilitation, 4e
処方箋はこの本からの抜粋。愛蔵書^^(愛読書と言いたいけど言えない)
ダメ出しコメント(^^;)
そして、理事長のコメントは「スッキリしない」というもの。
自分たちで診断+処方してるんだから、ダイレクトアクセスと同じだろ、と。
なぜ、それができるんだ、と言わないのか、と。
これが「!?」の2つ目でした。
声をあげられない理由
言おうと思っても言えません。理由は、不安なんですよ。
実力を実感してるから。
知れば知るほど知らないことが増える。
こんなのじゃまだまだ1人前になれない。
勉強していくとそう思うんです。
①ほかの病気が隠れていたらどうするのか。
②自分が手に負えないような患者が来たらどうするのか。
結局、医師がいれば責任逃れができますからね。
でも実際ね、
PT、OTやっているときにリスク管理は当然行うでしょ。
何か問題ある時に、医師に報告するのも当然のこと。
ダイレクトアクセスでも同じですよね。
PTに来た患者を鑑別診断して内科や外科の領域であれば他科にまわす…。
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つまり①は、具体的な鑑別診断ができるのかという不安です。バイタルサインがどうこうだけじゃないところでね。
②は、PT適応だとしても、自分の責任で治すことができるのか?
という治療技術の問題でしょうね。
この研修会に来ている人たちは、治療効果を上げることができる人たちです。
少なくとも、そうあろうと日々努力している人たち。
この技術をカナダで披露したら「Why??」の連続だったそうです。
技術はある。修得するかしないかの問題だけ。
障害診断? 当たり前でしょ?
ここ(研修会)に来た人たちにとっては普通のことですよ。
勉強すべきは鑑別診断、障害診断、治療技術、この3点。
今のシステムの中でも十分役立つことです。
今のシステム、実態はダイレクトアクセスっぽい。
医師は介在するけど、責任取るだけの位置。
(そうでない医師もたくさんいると思いますが、私は1名しか知りません)
「それなら、別にシステム変えなくてもいいじゃーん」
僕もそう思ってました。
でもね、このまま行ったら、少数の優秀な治療できるPT、障害診断・鑑別診断ができる能力あるPTが、その他のPTのあおりを受けて消えていくことになりますよ。
行きつく先は介護職のバックアップ。
いいんですか、それで。
介護がしたくてこの職に就いたんじゃないでしょう?
自分たちにはできるんだ! と声を上げるべきです。
医師の陰に隠れていれば安全ぬるま湯ですけど、それでいいんですか?
いまやるべきこと
そのために鑑別診断、障害診断、治療技術を身につける必要があります。
その3つがそろわなければ、危険です。
これはAPTAのCompetenciies in Physical Therapy:An Analysis of Practiceの目次です。これだけわかってて一人前です。これに裏付けられてこそのダイレクトアクセスなんでしょう。
下手なことやれば、Physical Therapyは死因になり得ますよ。
身分法制定当初の厚生省は、必ずしも危険とは言えないとのことで、名称独占にとどめたそうですけどね。
障害診断 - 医師に説明するくらいはできる
治療技術 - 現在進行中
鑑別診断 - …盲点だったー
勉強開始しました。
とりあえずこんな本から。
クリックするとamazon.co.jpに飛びます。
なんか、訳語が怪しい。原著持っている人いたら貸してください。m(_ _)m
ダイレクトアクセスは協会が完全に弱腰で、医師会や看護師協会の顔色を見ているうちは無理でしょうね。政治なので医師や看護師系の票数を上回らないと難しい。「質の向上」という文言は言い換えれば政治的弱さの裏返しでしょう。障害診断や予後予測、治療プログラム処方等は当然のこと、身体障碍者手帳申請用検査や保険申請検査等、本来医師がするべき検査のすべてを医師の影武者として療法士が行っているのが現状ですよね。していることすべてを公にして利権を獲得できれば、と日々、臍を噛む思いですが、現実的には医師会や看護師協の顔色ばかりお伺いしている状態ですよね。このまま、リハビリテーション治療の介護保移行が進めば、近い将来セラピストが介護職の補助となる可能性の方が高いでしょうね。「セラピストは先生なのか?」「PT/OTのするマッサージはリラクゼーションであり保険点数適応にするべきない」なんて声が出るのも「治療」と世間で思われていない証拠。「無知・無学」と一笑にふすることもできますが、世間の評価が政治を動かす。POSでちまちま利権争いをしていると、いわゆるリハビリ(テレビでやっているような誰でもできる健康増進的運動)の言葉に飲み込まれることでしょう。ちゃんと声を上げることのできる仲間がどれだけいるかわかりませんが、早いうちに声を上げないと介護保険・医療保険同時改正時に毎回肝が潰れる思いをし続けなければならい羽目になります。医療保険において疾患別が導入された時点でPOの個別性は必要なしと国が判断したのですから、日本では、国際的なPOの定義ではなく、ガラパゴス的進化が進んでいる。そこを問題点とするのか、POSを一纏めにした日本独自の資格にしてしまうのか、国際基準を推し進めるのか、なんらかしかのパラダイムシフトを行わないと療法士が治療家として生き残る道はなくなるでしょう。
コメントありがとうございます。
めったにコメントのないブログなもので、見落としてました。
返信遅れて申し訳ありません。
おっしゃる通り「政治的弱さ」確かにそれもあります。
質の向上と表裏一体なのもその通りですね。
政治的に力を持っても、質を伴わなければ医療の中で信頼されることはありません。
看護協会も医師会も教育システムはしっかりしたものがあります。
医師は医学部で6年間の教育課程が必要ですし、看護師は協会独自に教育制度を定めています。クリニカルラダーって言いましたっけ?
対して理学療法士はどうかということです。
教育の大本となる教員の研修制度はいまだに国の予算に頼っている状態と聞きました。
医学者の一員を名乗るにはまだまだ足りない気がしています。
「素人に毛が生えたような奴が何言ってんの?」
と思われてしまうのが落ちです。
一セラピストができるのは、まずは臨床で効果を上げること。
医師の信頼が得られるかどうかです。
医師に「お前がいなけりゃ俺の仕事が成り立たない」と言わしめることができるかどうか。
鑑別診断の知識と技術がキーになります。
もう一つは、治療効果を上げてそれを公の場に発表していくことです。
物理医学の治療専門職として存在意義を発揮できるかどうかですね。
そして、それに気づいているセラピストを増やすことじゃないかと思っています。
地道な活動が広がって、中身が伴ってくれば政治的な活動もやりやすくなるはずです。
ダイレクトアクセスが可能なアメリカではPTに博士課程が必要らしいです。
日本も同じように改革していくとしたら、業界自体にも痛みを伴います。
自分も含めてそれに耐えられるかどうか。
僕は今そこで思考停止しています。