障害学って? ICD-10とICIDHとICF ⑤ -Impairmentの解釈-
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障害学って? ICD-10とICIDHとICF ⑤ -Impairmentの解釈-
Impairment=機能障害です。
「知ってるよ。機能の障害でしょ?」
う~ん、そうだけど…
違います! いや、合ってるかも。
dysfunction
これ、どう訳しますか?
機能障害(もしくは機能不全)ですね。
Impairment=Dysfunctionですか?
違いますね。
どう定義されているかわからないと話になりません。
定義は? ICIDHより
ICIDHにはこう記されています。
機能障害(形態異常を含む)
保健活動に関連して用いられる場合、機能障害とは心理的、生理的、解剖学的な構造または機能の何らかの喪失または異常である。
器官に何か病理的変化が起きてから、それが顕在化したときにImpairmentになります。
例えば、インフルエンザA香港型に感染したとします。その時点でインフルエンザです。ちなみにICD-10だとJ10.1のコード番号が当てはまる。
ただ、感染しただけではなにもImpairmentはありません。体内でウイルスが増殖して気管に炎症が起きて「コンコン」という咳を伴って顕在化する。
これがImpairmentです。ちなみにコードは、61.7咳又は喀痰となります。
インフルエンザが治れば、咳も治ります。
例えば骨肉腫(C40.2)が下肢にできたとします。そう診断されても何も変化がなければImpairmentはありませんが、歩いているときに痛みが出たらImpairmentです。コードは61.5その他の労作不耐性に分類されます。
下肢切断をして骨肉腫を取り除きました。そうすると、骨肉腫ではなくなりますので、診断名はなくなります。ICDには乗っかってきません。
でも、下肢切断状態は残りますね。
構造の喪失ですので、Impairmentだけ残ります。
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PT/OTにありがちな勘違い
では、脳内出血(I61)で腱反射が亢進。この腱反射の亢進はImpairmentですか?
いいですか、違いますよ!
腱反射の亢進は器官が特定できないため、ICIDHには載ってきません。
では、筋緊張の異常はどうですか?
これもImpairmentではありません。(定義上は)
運動麻痺(コード73)や協調性の欠如(コード74)ならImpairmentとして定義されています。
「なんで!?」
って、そう書いてあるんですっ!!
先輩が言ったか、学校の先生に習ったか知りませんが、原著はそうなんです!
定義をないがしろにすると、話が通じなくなります。そうなっている理由は先に述べた通り。
「医者はわかってねえなぁ。」なんて言ったことあります?
実際わかっていないのは僕らの方かもしれません。
学生さんに間違った指導していませんか?
どうやら、ICFも間違った解釈が広まっているみたいですね。
またそのうち書きます。